スマホで3秒、PCで30秒
見られ方の違いを理解していますか?
目次
Webサイトは、同じ内容であっても、スマートフォンとパソコンではまったく異なる状況で見られます。
閲覧するデバイスが変われば、ユーザーの集中力や期待値、情報の受け取り方も大きく変わります。
この違いを意識せずにデザインや構成を組み立ててしまうと、結果として「何を伝えたいサイトなのか分からない」という印象を与えてしまいます。
実はユーザーは、スマートフォンではおよそ3秒、パソコンではおよそ30秒という、まったく異なる意識でWebサイトを見ています。この時間の差は、単なる体感の違いではなく、閲覧環境や目的の違いから生まれるものです。
今回は、スマホとPCそれぞれの見られ方の特徴を整理しながら、Web制作で意識すべきポイントについて解説していきます。
なぜ「スマホ3秒」「PC30秒」なのか
まずは、この数字の背景について考えてみましょう。
スマートフォンでWebサイトを見る場面は、日常の中の「隙間時間」であることがほとんどです。
電車を待っている間や、寝る前の数分、あるいは何かを調べている最中など、限られた時間の中で情報を探しています。
そのため、多くのユーザーは目的が明確で、「今すぐ答えが欲しい」という状態にあります。
こうした状況では、サイトをじっくり読む余裕はありません。
ユーザーは「自分に関係がありそうか」「探している情報がすぐに見つかりそうか」を、ほんの数秒で判断し、少しでも違うと感じれば迷わず離脱します。
スマートフォンでの閲覧は、「読む」というよりも「瞬時に判断する」行動が中心になっているのです。
一方で、パソコンでの閲覧は性質が大きく異なります。
仕事中に情報収集をしていたり、サービスや会社を比較検討していたり、資料請求や問い合わせの前段階として確認していたりと、ある程度時間を確保した状態でアクセスしているケースが多く見られます。
このようなユーザーは、ページをスクロールしながら内容を読み込み、納得できるかどうかを判断します。
そのため、30秒、場合によってはそれ以上の時間を使ってサイトを閲覧することも珍しくありません。PCでは、「勢い」ではなく「理解と納得」が重視されているのです。
スマホ閲覧で最も重要なのはファーストビュー
スマートフォンでの3秒を制するために、最も重要になるのがファーストビューです。
ファーストビューとは、ページを開いた瞬間にスクロールせずに表示される範囲のことを指します。
スマホのファーストビューでは、「何のサイトなのか」「自分に関係がありそうか」「続きを見たいと思えるか」という点が、非常にシビアに見られています。
ここで判断に迷わせてしまうと、スクロールされる前に離脱されてしまいます。
例えば、キャッチコピーが抽象的で内容が伝わらなかったり、写真はきれいでも何のサービスなのか分からなかったり、会社やサービスの概要が一目で把握できなかったりすると、それだけでユーザーは「自分には関係ない」と判断してしまいます。
スマートフォンでは、PC向けに作った情報量をそのまま持ち込むのは危険です。
長い説明文や装飾の多いデザイン、情報を詰め込みすぎたレイアウトは、すべて判断を遅らせる要因になります。
スマホのファーストビューでは、「今、最も伝えたいことは何か」を一つに絞る勇気が求められます。
PC閲覧では「安心材料」と「整理力」が重要
一方で、PC閲覧ではスマートフォンとは逆の考え方が必要になります。
PCユーザーは、サービス内容の詳しい説明や会社の考え方や姿勢といった情報を、しっかり確認しようとします。
ここで重要なのは、情報量そのものではなく、その整理の仕方です。
どれだけ良い内容が書かれていても、見出しがなく読みづらかったり、どこに何が書いてあるのか分かりにくかったり、文章が長すぎて読むのに疲れてしまったりすると、途中で離脱されてしまいます。
PC向けのページでは、見出しによって内容の全体像が把握でき、必要な情報にすぐたどり着ける構成であることが重要です。
スクロールしても迷子にならず、「知りたいことがきちんと書いてある」と感じてもらえる情報設計が、信頼感につながります。
同じサイトでも、同じ考え方ではいけない
レスポンシブ対応が当たり前になった今、スマホとPCで見た目は共通でも、「どこを最初に見せるか」「どの情報を目立たせるか」「どこで行動を促すか」といった設計は、デバイスごとに意識して考える必要があります。
成果につながるWebサイトは、スマホでは一瞬で要点が伝わり、PCでは時間をかけて納得できる構成になっています。この切り替えが、無意識のレベルで設計されているのです。
もし、スマホの直帰率が高い、問い合わせにつながらない、見た目は整っているのに成果が出ないと感じているのであれば、見直すべきなのはデザインのテイストではなく、「どのように見られているか」という視点かもしれません。
まとめ|まずは「スマホで3秒」を意識する
Web制作で迷ったときは、まず「このページは、スマホで3秒見ただけで何が伝わるだろうか」と自問してみてください。
その答えが明確になれば、PCで30秒見られたときの構成や情報設計も、自然と整理されていきます。
スマホとPCでは、同じサイトであっても見られ方はまったく異なります。
この前提を理解することが、成果につながるWebサイトづくりの第一歩と言えるのではないでしょうか。