ホームページに足りないのは
情報量ではなく「決め手」だった

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ホームページに足りないのは情報量ではなく「決め手」だった

飲食店を選ぶとき、地図アプリに並んだ候補を上から順にタップしていく——そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。写真もきれいで、評価も悪くない。でも指が止まるのは、決まって「これだ」と思える一言が書かれている店です。

ホームページも、実はこれとまったく同じ構造をしています。制作会社として日々ご相談をお受けする中で、「サイトはあるのに問い合わせが増えない」という声は頻繁に耳にします。そして実際に拝見すると、たいてい共通する一つの欠落が見つかるのです。

欠点がないのに、選ばれない不思議

問題のあるサイトかと思って確認すると、意外にもそうではないケースがほとんどです。デザインは今どきで整っている。会社概要もサービス紹介も、必要な情報はきちんと網羅されている。誤字脱字もなければ、表示速度に問題があるわけでもありません。

いわば「減点方式では満点に近い」サイトです。それでも問い合わせにつながらないのはなぜか。答えはシンプルで、加点となる要素が一つも入っていないからです。

欠点を消すことと、選ばれる理由を作ることは、まったく別の作業だという事実に、多くの発注者も制作者も気づかないまま進めてしまいます。

「強みが多い」ことが、実は裏目に出る

不思議なことに、この状態に陥りやすいのは、むしろ強みが豊富にある企業です。技術力もある、実績もある、対応の丁寧さにも自信がある——ヒアリングをすればするほど、良い話がいくつも出てきます。

そして担当者は考えます。「せっかくだから、これも書こう。あれも伝えよう」と。

結果として生まれるのが、箇条書きの強みリストがずらりと並ぶだけのページです。書いた側は「ちゃんと伝えた」という達成感を得られますが、読んだ側には何も残りません。情報を足すほど、印象がぼやけていくという逆説がここにあります。

選ばれる理由は、「発見」するもの

ここで大事な視点の転換があります。選ばれる理由——USP(Unique Selling Proposition)と呼ばれるもの——は、頑張って新しく作り出す言葉ではないということです。

すでに事業をしているなら、その理由は必ずどこかに存在しています。ただ、社内にいる人ほど、それが「当たり前すぎて」見えなくなっているだけなのです。

たとえるなら、毎日同じ道を通勤していると、途中の景色に気づかなくなるようなもの。外から来た人に「あの建物、素敵ですね」と言われて初めて、その価値に気づく。ホームページのUSP探しも、これに近い作業です。

見つけ出す手がかりは、社内の資料よりも、むしろ顧客の口から出た言葉の中にあります。「なぜうちに決めてくれたんですか」と過去の顧客に尋ねてみると、意外な答えが返ってくることが少なくありません。担当者が「大した強みではない」と思っていた点を、顧客は決め手として挙げていることがよくあるのです。

一点集中が、なぜ効くのか

人間の記憶の仕組みを考えると、これは自然な話です。私たちは、複数の会社のサイトを見比べながら、それぞれの特徴を細かく記憶しているわけではありません。むしろ、ぼんやりとした印象の断片だけが残ります。

「対応が早そうだった」「なんとなく専門性が高そうだった」——記憶に残るのは、たいていこの程度の解像度です。

だからこそ、伝える情報を絞り込むという判断が効いてきます。10個の強みを並べて何も残らないより、1つの強みを様々な角度から繰り返し伝えるほうが、記憶に定着しやすいのです。キャッチコピー、事例の見せ方、お客様の声——サイト全体が一つの軸で貫かれているとき、初めて「決め手」として機能し始めます。

デザインより先にやるべきこと

新しくサイトを作る、あるいはリニューアルすると聞くと、多くの人はまず配色やレイアウトを思い浮かべます。ですが、順番を間違えると、どれだけデザインに投資しても土台がぐらついたままです。

先に決めるべきは「誰に、何を、一番に伝えるか」という一点。この軸が定まっていない状態でデザインの相談を始めるのは、行き先を決めずに車のグレードだけ選んでいるようなものかもしれません。

まとめ

きれいで、情報も揃っていて、それでも問い合わせにつながらないホームページには、たいてい「決め手となる一言」が抜け落ちています。強みを足すことではなく、すでにある強みの中から一つを選び抜くこと。そこに向き合うことが、成果につながるサイトづくりの出発点になるはずです。

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