デザイン力だけでは足りない?
成果を生むサイト制作の考え方
目次
「デザインは気に入ってもらえたのに、なぜか成果につながらない」
「修正依頼には対応しているけれど、本当に良くなっている気がしない」
Webデザインの仕事を続けていると、このような悩みに直面することがあります。
私自身、最近採用サイトの制作に携わる中で、デザインそのものの完成度だけではなく、「なぜそのデザインにするのか」という考え方や設計の重要性を改めて実感しました。
近年はAIやノーコードツールの普及により、一定水準のデザインを形にすること自体は以前より簡単になりました。だからこそ今求められているのは、「どう作るか」だけでなく「なぜ作るのか」を考えられるデザイナーです。
どれだけ見た目を整えても、クライアントやユーザーとの認識が揃っていなければ、本当に成果につながるサイトにはなりません。
そこで今回は、Webデザイナーが身につけておきたい「ディレクション視点」についてご紹介します。
見た目の良さだけでは成果につながらない
Webサイトは、単に見た目を整えるためのものではありません。例えば飲食店のホームページを制作する場合、料理の写真が魅力的で、トレンド感のあるデザインに仕上がっていたとしても、
- 営業時間が見つけにくい
- 予約方法が分かりづらい
- アクセス情報にたどり着きにくい
といった状態では、ユーザーにとって使いやすいサイトとは言えません。
採用サイトでも同じです。会社の雰囲気が伝わっていても、仕事内容や働く環境が分からなければ応募にはつながりにくくなります。
どれだけ美しいデザインであっても、ユーザーが求める情報にたどり着けなければ、本来の役割を果たしているとは言えません。
Webサイトは企業やサービスの課題を解決するためのツールです。その前提を理解することが、成果につながるサイト制作の第一歩になります。
デザインの前に目的を整理する
制作を進める中で、ついレイアウトや配色から考え始めてしまうことがあります。しかし本来は、その前に整理しておきたいことがあります。
例えば、
- 誰に向けて発信するのか
- 何を伝えたいのか
- サイトを通してどのような成果を目指すのか
といった部分です。
採用サイトを例に挙げても、「応募数を増やしたい」のか、「企業理念に共感してくれる人材を集めたい」のかによって、見せるべき情報は大きく変わります。
また、コーポレートサイトの場合は問い合わせ獲得だけでなく、企業の信頼感や安心感を伝えることが目的になるケースもあります。目的が曖昧なまま制作を始めてしまうと、途中で方向性がぶれてしまい、修正が増える原因にもなります。
まずはサイトの役割を整理し、その目的から逆算して考えることが大切です。
サイト全体を見る視点を持つ
デザイン作業をしていると、どうしても細かな部分に意識が向きがちです。余白の調整やボタンの見せ方、装飾のバランスなど、一つひとつの要素を丁寧に作り込むことはもちろん必要です。
ただし、部分的な完成度ばかりを追い求めていると、サイト全体の流れが見えなくなってしまうことがあります。ユーザーは一つのセクションだけを見るわけではありません。
サイトを訪れた人は、
- まず興味を持つ
- 必要な情報を探す
- サービスや企業への理解を深める
- 問い合わせや応募などの行動を起こす
という流れでサイトを利用しています。そのため大切なのは、目の前の画面だけではなく、サイト全体の体験を意識することです。
今作っているコンテンツがどのような役割を持ち、その先の行動にどうつながるのかを考えるだけでも、デザインの組み立て方は大きく変わります。
ユーザー目線で考える習慣を持つ
制作を進めていると、自分自身がサイトの内容を理解しすぎてしまうことがあります。何度も見返しているうちに、「この情報は伝わっているはず」と思い込んでしまうのです。
しかし、初めてサイトを訪れたユーザーは違います。業界の知識がないかもしれませんし、サービス内容を詳しく知らないかもしれません。そんなときに意識したいのが、次のような視点です。
- 専門用語ばかりになっていないか
- 必要な情報が不足していないか
- 次に何をすればよいか分かるか
- 初めて見た人でも理解できる内容になっているか
迷ったときは、自分ではなくユーザーの立場で見直してみることをおすすめします。そのひと手間が、サイトの分かりやすさを大きく左右します。
良いサイトは良いヒアリングから生まれる
成果につながるサイトを作るためには、制作前のコミュニケーションも欠かせません。クライアントが抱えている課題や目指している方向性を十分に理解しないまま制作を始めてしまうと、後から大きな認識のズレが生まれてしまうことがあります。
ヒアリングの際には、少なくとも以下の点を整理しておきたいところです。
- 誰に向けたサイトなのか
- 企業やサービスの強みは何か
- サイトのゴールは何か
- 現在抱えている課題は何か
デザイナーはデザインを作る人であると同時に、情報を整理する役割も担っています。ヒアリングの段階から積極的に関わることで、より本質的な提案ができるようになります。
デザインの意図を伝えることも仕事のひとつ
デザインを提出するとき、「なんとなくこちらの方が良いと思った」という説明では、なかなか相手に伝わりません。なぜそのレイアウトにしたのか、なぜその色を選んだのかを説明できることも、プロのデザイナーに求められる力です。
例えば、
- 親しみやすい印象を持ってもらうために柔らかな配色を採用した
- 情報を見つけやすくするために余白を広めに設計した
- 行動につなげるためにCTAを目立つ位置に配置した
といったように、目的と結び付けて説明できると説得力が増します。デザインの意図を言葉にできるようになると、クライアントとの認識も合わせやすくなり、結果としてスムーズな進行にもつながります。
これからのWebデザイナーに求められること
以前は、依頼された内容をきれいに形にすることがデザイナーの主な役割でした。しかし現在は、デザインツールやAIの進化によって、見た目を作るだけであれば誰でもある程度できる時代になっています。だからこそ価値になるのは、その先を考えられる力です。
- ユーザーは何を求めているのか
- 企業はどのような課題を抱えているのか
- どうすれば成果につながるのか
こうしたことを考えながら提案できるデザイナーは、単なる作り手ではなく、課題解決のパートナーとして信頼される存在になっていきます。
まとめ
Webデザインは、見た目を整えるだけの仕事ではありません。サイトの目的を理解し、ユーザーの視点に立ち、成果につながる流れを考えることが重要です。デザインスキルを磨くことはもちろん大切ですが、それと同じくらい制作の背景や目的を理解する視点も欠かせません。その視点が、これからのデザイナーとしての成長につながる大きな一歩になるかもしれません。