ペルソナとターゲットの違いとは?
ホームページで「誰に伝えるか」を決める考え方
目次
「このサイトは、誰に向けて作りますか?」
ホームページ制作の打ち合わせで、よく聞かれる質問です。ここで「できるだけ多くの人に」と答えると、サイトの内容がぼやけやすくなります。そこで使われるのが、「ターゲット」と「ペルソナ」という言葉です。
似た意味に聞こえますが、役割は違います。今回は、2つの言葉の成り立ち、ホームページ制作での使い分け、ペルソナの作り方を解説します!
2つの言葉は、出どころが違う
ターゲットは、マーケティング戦略の言葉
「ターゲット」は、マーケティングの基本的なフレームワーク「STP分析」の中で使われます。STP分析は、アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱したとされるフレームワークです。 3つの段階で構成されます。
- セグメンテーション(市場の細分化): 市場を、似たニーズを持つグループに分ける
- ターゲティング(狙う市場の選択): どのグループを狙うかを決める
- ポジショニング(立ち位置の決定): 競合と比べた、自社の位置を決める
つまり、ターゲットとは、「市場の中から、自社が狙うと決めたグループ」のことです。市場を分けるときは、年齢、性別、職業、収入などの、個人の基本的な属性を基準にする方法があります。
ペルソナは、UX・設計の分野で広まった言葉
「ペルソナ」という手法は、UX(ユーザー体験)やソフトウェア設計の分野で広まりました。この分野にペルソナを持ち込んだのは、ソフトウェア設計者のアラン・クーパーだとされています。彼は1983年ごろ、ある利用者を想定しながら設計を進めた経験から着想を得て、1999年の著書でさらに普及させました。 なお、ペルソナの考え方そのものは、UX分野より前からあったという指摘もあります。
現在、ペルソナは、調査にもとづいて作られた架空の人物で、主要なユーザー層の行動パターン、目的、ニーズ、不満などを、具体的な人物像にまとめたものと説明されています。
違いを整理すると
| ターゲット | ペルソナ | |
|---|---|---|
| 問い | 誰に届けるか(範囲) | その人は、何に悩み、何を求めているか(中身) |
| 表し方 | 属性のグループ | 1人の人物像 |
| 主に使う場面 | 戦略、広告の配信先、市場の見極め | 構成、文章、デザイン、導線の判断 |
| 根拠 | 市場データ、顧客データ | 調査・インタビュー・データ |
ターゲットは「地図」のようなもので、どのエリアを狙うかを示します。ペルソナは、そのエリアに住む「1人の住人のスケッチ」のようなもので、その人の暮らしや考えが見えるまで描きます。どちらか1つで足りるわけではなく、役割が違います。
ホームページ制作での使い分け
以下は、一般的な使い分けの考え方です。
ターゲットは「方針」を決めるために使う
- どのサービスを、前面に出すか
- どの検索キーワードや広告で集客するか
- どの規模の企業、どの地域の人に向けたサイトにするか
ペルソナは「中身」を決めるために使う
- トップページの最初に、何を見せるか
- 専門用語は使ってよいか、かみ砕くべきか
- 料金や実績は、どのタイミングで見せるか
- 問い合わせのボタンは、どこに置くか
具体例で考えてみよう(架空の例)
地方の工務店が、新築のサイトを作る場合を考えます。
- ターゲット: 市内で注文住宅を検討している、30〜40代の子育て世帯
- ペルソナ: 共働きで、保育園に子どもを預けている夫婦。仕事が忙しく、休日に住宅展示場を回る余裕がない。「予算内で、どんな家が建つのか」「相談したら、しつこく営業されないか」が気になっている。
このペルソナを想定すると、「施工事例に費用の目安を載せる」「オンライン相談を、スマホから予約できるようにする」「無理な営業はしないことを明記する」といった判断が、自然に出てきます。ターゲットだけでは、ここまで具体的には決めにくいでしょう。
ペルソナの作り方:材料集めが重要
ペルソナは、想像ではなく、事実から作ります。材料には、次のようなものがあります。
1. 実際のデータ・声を集める
- 過去の問い合わせの内容
- 営業担当者や、現場のスタッフへのヒアリング
- 既存のお客様へのインタビューやアンケート
- アクセス解析で分かる、よく読まれるページや流入元
2. 共通点をまとめて、1人の人物にする
集めた情報の共通点を探し、1人の人物像にまとめます。次の項目を整理すると、判断に使いやすくなります。
- どんな状況で、困っているか
- サイトを見に来る、きっかけは何か
- 何を知りたいか、何を不安に思っているか
- 何を比較し、何が決め手になるか
年齢や家族構成などの属性は、補足と考えましょう。属性だけでは、その人が「なぜ」買う(買わない)のかが分からないという指摘があります。
3. 人数は絞る
ペルソナを増やしすぎると、優先順位がつけにくくなります。まずは、最も重要な1〜2人から始めるのがおすすめです。
まとめ:ターゲットで範囲を決め、ペルソナで中身を決める
ターゲットは「誰に届けるか」を決める言葉、ペルソナは「その人に何をどう伝えるか」を決める道具です。出どころも役割も違うため、組み合わせて使うと、判断がぶれにくくなります。
ペルソナは、必ず作らなければならないものではありません。ただし、「誰に向けたサイトか」が曖昧なときや、社内で意見が分かれるときには、大きな助けになります。まずは、問い合わせの内容や、お客様の声を集めるところから始めてみましょう。