なぜブロックチェーンは不可欠なのか？
安全なデータ管理の仕組みを解説
目次
現代のインターネット、Web2.0は、その利便性とは裏腹に、いくつかの課題を抱えています。
Web2.0の課題とは？前回の記事を読む｜これからのインターネットWeb3を解説
巨大プラットフォームへのデータ集中、ユーザープライバシーへの懸念、そして検閲のリスクなど、私たちは中央集権的な構造の中で情報を受け取り、サービスを利用しています。
そんな中、新たなインターネットの形として注目を集めているのがWeb3.0です。
分散化、ユーザー主権、透明性をキーワードとするこの次世代のWebは、より自由で、より公平なインターネット体験を私たちにもたらすと期待されています。
そして、このWeb3.0の実現に必要不可欠な技術こそがブロックチェーンなのです。
ブロックチェーンとは？
ブロックチェーンは、データを「ブロック」と呼ばれる単位で管理し、それらを鎖（チェーン）のように連結して保管する技術です。
この仕組みが、データの改ざんを非常に困難にしています。
各ブロックには、一つ前のブロックの内容を示す特別なデータ「ハッシュ値」が記録されています。
もし過去のブロックのデータを書き換えようとすると、そのブロックのハッシュ値が変わり、それに続くすべてのブロックのハッシュ値も変更しなければならなくなります。
これは現実的に非常に難しいため、ブロックチェーンで管理されたデータは高い信頼性を保つことができるのです。
元々、ブロックチェーンは仮想通貨（暗号通貨）の1つであるビットコインを実現するための技術として開発されました。
ビットコインをはじめとする仮想通貨（暗号通貨）の多くは、ユーザー同士で直接取引が行われており、この取引履歴を記録するためにブロックチェーンの技術が使われています。
また、ブロックチェーンは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種のため、特定のサーバーに依存せず、システム全体がダウンしにくいという特徴があります。
さらに、高性能なサーバーが不要なため、運用コストを抑えることができるというメリットもあります。
なぜブロックチェーンはWeb3.0実現に不可欠なのか？
上記のようなブロックチェーンの特性が、Web3.0が理想とする形と重なり、その発展を大きく支えています。
分散性：中央管理からの解放
Web3.0の根幹にあるのが「分散化」という考え方です。
ブロックチェーンは、特定の管理者に依存せず、ネットワークに参加する多くの人々やコンピューターによってデータが共有・管理されます。
このように、みんなで管理する仕組みだからこそ、システムが止まってしまう危険を減らし、特定の誰かに情報を消されたりするのを防ぎ、Web3.0を本当に自由な場所にするための土台となるのです。
透明性と改ざん耐性：信頼性の高い情報基盤
ブロックチェーンに記録されたデータは、ネットワーク参加者によって検証され、一度記録されると改ざんが極めて困難です。
この透明性と改ざん耐性こそが、Web3.0における信頼性の高い情報共有と取引を可能にします。
誰がいつ何を行ったのかが記録され、公開されることで、不正行為を抑制し、ユーザー間の信頼関係を高めます。
強固なセキュリティ：データの安全性を確保
ブロックチェーンは、高度な暗号化技術と分散型のメカニズムを採用しています。
これにより、悪意のある第三者によるデータの不正アクセスや改ざんのリスクを大幅に低減し、Web3.0におけるユーザーのデータや資産の安全性を確保します。
広がるブロックチェーンの可能性
ブロックチェーン技術の可能性は、Web3.0の実現だけでなく、その特性を活かし様々な分野での応用が期待されています。
これから活用化が期待されるブロックチェーン技術
ここでも分散型、透明性、セキュリティといった特性がキーワードになっています。
金融分野 (DeFi)
DeFi（分散型金融）は、銀行などの仲介なしで、お金の貸し借りや売買、保険といったサービスを提供する新しい形です。
これまでの金融システムより透明性が高く、もっと多くの人が利用できるようになるかもしれません。
サプライチェーン管理
生産から供給過程、消費・廃棄まですべての流れをブロックチェーンで記録・管理し、追跡できるようにする仕組みへの応用といった多分野での取り組みが進んでいます。
これにより不正や偽造を防止し、効率的なサプライチェーンの実現が期待できます。
デジタルアイデンティティ
個人情報をブロックチェーン上で管理し、ユーザー自身がその利用をコントロールできる自己主権型アイデンティティ（SSI）は、プライバシー保護と利便性を両立させる新たなデジタルIDの形として注目されています。
その他にも、ヘルスケア分野での医療記録管理、不動産取引の透明化、IoTデバイスのセキュリティ強化など、ブロックチェーン技術は様々な分野で革新的な変化をもたらす可能性を秘めています。
ブロックチェーンが拓く未来
ブロックチェーンは、単にWeb3.0を実現するための技術だけでなく、社会の様々な分野において、透明性、効率性、セキュリティを高め、新たな価値創造を促す可能性を秘めた革新的な技術であることがわかりました。
Web3.0の発展とともに、そしてそれ以外の多様な分野での応用が進むにつれて、ブロックチェーンは私たちの社会に不可欠な存在となっていくでしょう。
